BtoB Tech

おもにBtoB系のSaas事業について、マーケティングやプロダクト面から考察するブログです。

ホワイトペーパーをBtoB事業のリード獲得に使う場合の問題点

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Photo by Tim Gouw on Unsplash
BtoB向けの、特にSaas事業のマーケティングにおいてホワイトペーパーやサービス紹介資料ダウンロードを活用するのはもはや定番といってもいい施策です。
この資料ダウンロードは、サービスへのお問い合わせや見積もり依頼に比較するとユーザー側の心理的なハードルが低い上に、リードとして必要な個人情報を高い割合で獲得できることが特徴です。サイトに来訪しただけの匿名段階の次のステップとして、ここでいかに母数を確保できるか、重要なポイントでもあります。
しかし、気軽にダウンロードしてもらえる反面、サービスへのニーズがあるかというとユーザーによりまちまちで、総じてお問い合わせよりも質が良くないというのが一般的な評価ではないでしょうか。今回はなぜ質が良くないことが多いのか、にフォーカスしてその原因を探っていきたいと思います。

問題①提供するサービスとの関連性が薄い

サービス紹介資料はともかく、ホワイトペーパーの場合は特定領域のノウハウだったり調査結果レポートなど特定のサービス紹介よりもまず訪問者のメリットになるかどうかが重要です。サービス紹介に寄せるほど売り込み要素が強くなりダウンロード数が落ちてしまうからです。

問題②PDCAができていない

多くの場合、ホワイトペーパーを作成するのにはけっこうな労力がかかります。大抵の人の人生において、学校での作文、卒業論文以上のテキストコンテンツを作成する機会は少なく、せっかく意気込んで作っても「もう次はやりたくない」というムードになってしまいがちです。これにより最初に作成したホワイトペーパーを改善しながら質や量をコントロールするPDCA活動につながりにくくなります。

問題③実はほとんど読まれていない、書かれている内容を実行していない

これは資料をダウンロードするユーザー側の問題ですが、せっかく資料をダウンロードしてもそれが手元にある状態に満足してしまい最後まで読んでいなかったり、書かれている内容が業務の中で実行されないということはザラです。せっかくの力作でも中身が読まれず実行されなければ無駄になってしまいます。

問題④サイト来訪〜資料ダウンロード〜商談化、の段階設計ができていない。

②にも関係しますが、マーケティング経験がないチームの場合、資料を作り上げることで力尽きてしまい、見込みユーザーのサイト来訪や商談化に至るステップを踏まえた施策になっていないことがあります。マーケティングオートメーションでいうところのリードナーチャリングの設計にも近いですね。
来訪チャネルごとに、サイトにアクセスした人がどんな課題を抱えていて、それを解決するために資料をダウンロードして、その人に対してどんなコミュニケーションをすればいいかが重要なのですが、これができていないと思われるケースは多いと思われます。

問題⑤リードに対しての期待値や役割が設定されていない

1回作っただけではわからないのですが、複数の資料をリリースしていくと、資料ごとにダウンロード数やリードの属性(顧客属性やニーズ状況など)、商談化率などに違いが出てきます。この差をベースにしながら、作成する資料ごとにどんな効果を期待するか、数値的な目標を設定するかが重要です。作成数が少ない状態では傾向がつかめないですし、そこそこの量を作っていてもここの把握ができていないというケースもあります。
どれも「なるほど確かにそうかも」というポイントではないでしょうか。しかし、これらを逆手にとれば、競合他社が提供するホワイトパーパーも同じ状況だということです。同じように貢献できていない資料が世の中にはたくさんあるということです。
この状況を改善するにはこれら問題が解決できればいいわけですが、それはまた次の機会に紹介したいと思います。